【海外FXの税金】必須知識まとめ【算出具体例と国内FXの税金との違い】
海外FXの税金についての必須知識をまとめました。
海外FXと国内FXでは、収益の分類が異なります。
海外FXと国内FXでの相違点と、海外FXの税制の正しい知識を知りたい方に読んでいただきたい記事です。
海外FXの税制
海外FXの税金は【雑所得】に分類され、累進課税制度で税金が徴収されます。
累進課税制度とは、【利益が大きくなればなるほど、税率も上がる】という制度のことです。
海外FXのみでトレードしている方には不要な知識となりますが、国内FXとの税制の違いを一覧にまとめると、以下のようになります。
▼海外FXと国内FXの税制の違い
項目 | 海外FX | 国内FX |
所得区分 | 雑所得 | 雑所得 |
税区分 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 累進課税(15%~55%) | 一律20.315% |
損益通算 | 「雑所得/総合課税」に分類される項目 | 「先物取引に係る雑所得等」に分類される項目 |
損失繰越 | 不可 | 3年分が可能 |
国内FXの税金
国内FXの税率20.315%の内訳は【所得税15%/住民税5%/復興特別所得税0.315%】となっており、合計値が20.315%です。
どれだけFXのトレードで利益を上げても、一定の値(20.315%)で税金が徴収されます。
海外FXの税金
海外FXは先述したように、累進課税なので、利益の金額によって税率が変動します。
総合課税として徴求される税金の内訳は【所得税/住民税】です。
また、所得税は金額によって控除が発生します。
税金の算出式としては
となります。
課税所得額による税率を下記の表にまとめました。
▼海外FXの税率一覧
課税所得額 | 所得税 | 所得控除額 | 住民税 | 税率(合算) |
195万円以下 | 5% | 0 | 10% | 15% |
195万1円~330万円 | 10% | 97,500円 | 10% | 20% |
330万1円~695万円 | 20% | 427,500円 | 10% | 30% |
695万1円~900万円 | 23% | 636,000円 | 10% | 33% |
900万1円~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 | 10% | 43% |
1,800万1円~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 | 10% | 50% |
4,000万1円以上 | 45% | 4,796,000円 | 10% | 55% |
表の左端の項目は『課税所得額』としています。
課税所得額は、トレード利益から必要経費、各種控除金額を引いた金額です。
わかりやすく記載する為に、基礎控除を含む全ての控除を考慮せずに『課税所得額』として記載しています。
累進課税制度は、所得が増えた分に対して、増えた金額分に対してのみ、税率が上がります。
課税所得額が『500万円』の場合の所得控除額は『427,500円』になっています。
『500万円』の場合、195万円に対して5%の課税、195万~330万までの135万円分に対しては10%の課税、330万~500万円の170万円分に対しては20%の課税が発生します。
これを計算すると、195万×0.05+135万×0.10+170×0.20=57万2500
となります。
しかし、この計算方法では、面倒です。
そこで、計算をラクにするために、表内の所得控除額を使います。
課税金額『500万』にシンプルに税率を掛けて、控除額をひくと
500万×0.20-427,500=57万2500
となり、先ほどの算出金額と一致します。
所得控除額とは、計算をラクにする為に使うものだとご理解ください。
所得控除額を使うと、税金の計算が非常に簡単になります。
税金は
【税金=(所得額×所得税率-所得控除額)+住民税】
で算出できます。
例として、一年間で200万円の利益を海外FXのトレードで得たとして、他の収入が一切ない場合に収める税金は、
(200万×0.1-97,500)+200万×0.1=202,500
となり、20万2500円が徴求される税金となります。
改めてですが、海外FXの利益は【総合課税】に分類されます。
総合課税に分類される課税所得額は合算した上で税金を算出します。
総合課税制度に分類される主な所得区分には
- 雑所得
- 給与所得
- 不動産所得
- 事業所得
などがあります。
従って、国内FXとの収益の合算はできません。
例として、一年間で500万円の給与所得と、海外FXのトレードで200万円の利益を得た場合
700万×0.23-636,000+700万×0.1=1,674,000
となり、167万4000円が徴求される税金となります。
給与所得を得ていて、勤務先の会社が源泉徴収を行っている場合は、確定申告時には、海外FXの利益分のみの支払いをすればOKです。
・海外FXの税金は【雑所得/総合課税】で累進課税で徴求される。
・総合課税に分類される収入は合算される。(国内FXとの合算不可)
・税率は15%~55%で、課税金額によって変動する。
・課税金額は、必要経費、控除(基礎控除など)を引いた金額を指す。
損失繰越
国内FXの税制と海外FXの税制の違いに『損失繰越の可不可』が挙げられます。
国内FXは損益通算が3年間ならば、行うことができます。
前年の損失分を申告していれば、翌年に利益が出ても、前年分の損失を合算して利益の算出が可能なので、税金を抑えることが可能になります。
海外FXでは、損失繰越ができないので、損益通算が可能な点は国内FXのメリットです。
海外FXの税金はいくらから国内FXより高くなるか?
『海外FXは税金が高い』『海外FXは税金のことを考えていない愚かな奴がやるものだ』と海外FXのデメリットとして、「税率の高さ」が非常によく挙げられます。
先の項でも述べた通り、海外FXの税制は累進課税制度であり、最小の税率は15%です。
国内FXの税率は一律20.315%となっており、利益の金額によっては海外FXの方が税金は抑えられます。
この項では、実際にいくらから海外FXの方が税金が安いか?
分岐する金額を算出してみます。
わかりやすくする為、他の収入が一切無いと仮定して、【トレードのみ】の利益で比較します。
また、実際には、基礎控除、扶養控除、保険料控除など、14種類の控除が存在しますが、本計算では、控除は一切考慮せずに行います。
あくまでも、目安の数値として捉えていただければ幸いです。
トレードの利益をXとして、国内FXの税金を左辺に、海外FXの税金を右辺におき、330万1円~695万円に分岐する金額が存在すると仮定すると、
X×0.20315=(X×0.2-427500)+X×0.1
を解けば求められ、X=4,414,042
となります。
約441万円以内の利益であれば、税金面でも海外FXの方がメリットがあります。
あくまでも目安の数値ですが、441万までは、税金面でも利があると捉えてください。
ただし、【トレード以外の収入がない、各種控除を考慮していない】という仮定の上で算出した数値だという点をご理解ください。
必要経費も控除対象
先述したように、課税所得額とは、トレード利益から、必要経費と各種控除を引いた金額です。
FXトレードの『必要経費』として認められるものの例としては以下のようなものがあります。
・トレード用のパソコン
・インターネットプロバイダー料金
・FXセミナー料金
上記は一例です。
部分的に経費として認められるケースや、パソコン周辺機器なども認められるケースもあります。
この点に関する不明点は、最寄りの税務署、または税理士に確認しましょう。
2020年からの税制変更点
納税の必要がある金額は給与所得者の場合は20万1円~、非給与所得者の場合は38万1円~が、税金が発生する金額でした。
しかし、2020年から基礎控除額が48万円に引き上げられた為、非給与所得者の場合は48万1円以上から、納税する必要が発生します。
最後に、本記事では、税金の知識として、知識面についての記述をしていますが、実際に納税を行う【確定申告】の手順は、e-tax を利用すれば、難しいものではありません。
現実的に必要な確定申告の方法、手順については、別の記事でまとめようと思います。
海外FXのトレードで発生した利益に対して発生した税金は必ず納めましょう。
脱税は、必ずバレます。
なお、税金の知識面での不明点は、最寄りの税務署で問い合わせるのが最も確実です。
電話による問い合わせも可能なので、不明点は税務署に確認し、しっかり納税しましょう。